Modifying Arcam CD72 CD Player as of Aug.13 2004

AD827JNとOPA627BP、大差ない、などと書いてしまったが、差はあった。
827では「うーん、いい低音」などという風に聞いていたのだが、627では細かいことが気にならずに音楽を楽しめる。世評、侮りがたし。万札単位の値段も、自作、というか改造をやっていると「高いなー」と感じてしまうが、効能を考慮すれば、今まで費やしてきた外側のアクセサリに比べてものの数ではない。

というわけで聴き惚れてしまい、もうこれ以上やる必要ないんじゃないか、今まではビギナーズラックで爆発も何も起きずに来られたけど、リスク対効果を考えてこの辺りで手打ちにするのが賢いのではないか、などと邪念?が湧き、改造意欲に支障をきたしてしまっていた。

それでも、サービスマニュアルの回路図を見ながら、あれ?ここどうしたっけ?、という箇所が何箇所も出てきたのでどうせまたいじらなければならない。クロック載せ替えの部品も揃っていることだし、と一昨日、クロック基板を組んでみた。
Arcamの回路は、DACアナログ電源の貧弱さが嘘のようにクロックの電源や発振回路には物量を投入していてパターンも優先されているようなので、まず最初は既存のクロック用5Vを強化して高精度水晶発振器を駆動することにする。
オリジナル回路のクロック5Vの概要は以下。
・デジタル系ブリッジ整流の+11Vを3300uFでリップル除去
・10Ωを介してクロック専用に引かれ、100uFでデカップリング
・3端子レギュレータで5Vにされ、OSコン22uFでデカップリング


Fig.1 クロック基板
網状のベタアース付きユニバーサル基板を切り出して使用。発振器は三田電波製16.9344MHz。
OSコンからの5Vは、20Ωと8.2uHの並列を通って、BlackGate NX HiQ 47uF/6.3V x 4(超電解だ。くす)でデカップリングされて発振器へ。抵抗とインダクタは、Arcamの他の電源の見よう見まねのおまじない(フリーの回路シミュレータは入手したのだけど、まだうまく動作させることができない。計算もしていない)。
発振器からの出力は1KΩの半固定を経て外へ。半固定は、波形を確認してこれでOKという抵抗値を得たら撤去し、通常の抵抗器に交換する予定。

問題は、このクロック基板からの信号をどこに入れればいいか、である。
オリジナルの発振回路の出力部分は下記。COMPLICATED CIRCUITの中に、16.9344MHzの水晶発振子が含まれている。


Fig.2 CD72オリジナル発振回路出力部分

さっぱりわからないので、上図のA〜D点の波形をオシロであたってみた。


Fig.3 A-point


Fig.4 B-point


Fig.5 C-point


Fig.6 D-point

やっぱりわからない。どうして何回も74HCU04で叩き直しているのだろう。信号の腰が強くなるとかあるのか、うどんの生地じゃあるまいし。
三田電波の発振器からは方形波が出てくるはずなので、とりあえずC点に入れて、D点での波形をオリジナルと比べてみる、という方針で行くことにする。74HCU04への電源も切っちゃえるし。

良い音で鳴っているCD72改からなくなく基板を外し、まずは回路図上で疑問が生じた点を確認する。
・上で説明したクロック電源のレギュレータ前の部分、11Vかかっているのに耐圧10VのOSコンを入れてしまっていた。BG DC 220uF/25Vに交換
・例のSilmic22uFのところは、BG N 100uFになっていたが、CD92では1000uFのようなので、BG NX 680uFに交換
・クロック電源のレギュレータ後のデカップリングを、OSコン22uF/20VからOSコン330uF/6.3Vに交換。本当は「ここは絶対OSコンが必要なんだ!」と上司の説得に成功したArcamのエンジニアに敬意を表してそのままにしておきたかったのだけど、背に腹はかえられない(?)

他の疑問点には致命的な点はなし。ロジックASIC用の電源廻り、ADJ端子にOSコンが入っていてデカップリングにMUSEが入っている、など初期の行き当たりばったりコンデンサ交換は相当情けないが、リスクと追加投資を考えると放置、が正解だろう。

Fig.7 根拠レスなMUSE

さてメイン基板に穴を開けてクロック基板を固定し、電源とGNDを結線してまずは発振が機能しているかどうかを確認する。


Fig.8 クロック基板搭載状態
発振器の上にちょっと端が見えているのがオリジナル発振回路の水晶発振子。
この状態では、新しい発振器の発振機能の確認、と、オープンでの波形の確認、とが目的なので、CDPとしてはクロックはオリジナルのもの(+電源デカップリング強化)が使われている。オシロのプローブが写りこんでいるので絵が錯綜している。
縦に実装されている子基板の右の大きめの赤が、今回交換したDACアナログ電源の元締めのデカップリング、BG NX 680uF/35V。これは高い。普通の民生機器ではとうてい使えない代物。縦位置子基板の奥がDACデジタル電源の元締めのOSコン470uF。子基盤すぐ左の黒が、クロック電源用レギュレータ前のデカップリングで、今回耐圧10VのOSコンから交換したBG DC 220uF/25V。
一見、いや、よく見ても、バラック状態になってきてしまった。部品面での空中配線が痛いな。引き続き懸案であるDACアナログ電源廻りは、当面「臭いものに蓋」方式のままで行くことにする。音、いいし。

さて、新しい発振器の波形である。クロック基板上の半固定から出ている線(上図の黄色い線)をオープン状態でオシロで見てみる。


Fig.9 高精度発振器の出力
半固定での負荷を0Ωにすると立ち上がりのオーバーシュートが凄いので、半固定を回して良さげになったのが上図。このときの抵抗値は、回転角からみて250Ω程度と思われる。

さて、無事発振も確認できたので、74HCU04からの出力を切って、クロック基板からの信号をCポイントに入れれば一見落着、という心積もりであった。のだが、上の結線状態での音が、その前の私の聴き惚れていた音とずいぶん違う。相当なハイ上がりで、金属的な響きも乗っている気がするし、低音も弱い。今回のコンデンサ交換ではドラスティックな違いは発生しないだろうから、即クロックの切り替えをしてしまおう、と思っていただけにこれは困った。
冒頭の邪念がちょっと当たってしまった感じだ。

音が変わってしまった理由としては、
・今回交換した3個のコンデンサのエージング不足
・クロック電源レギュレータ前のコンデンサをOSコンからBG FKに交換してしまったこと
・オリジナルクロック電源を、オリジナルクロックを動作させたまま新クロック基板に拝借してしまっていること
・新クロック基板からの高周波ノイズ
などが考えられるのかな。0.65mmピッチのIC直付けハンダ付けが外れたか、とも疑ったけど、部品面配線しているDACのVcc2L/Rの独立デカップリングを確認してみたらOk。

この音の状態でクロックを交換しても、なにがなんだかわからなくなってしまうので、しばらくエージングをかけて、様子を見てからクロック切り替えをすることにした。
直感的には、大きな図体のBG NX 680uFのエージング不足ではないか、との希望的観測を持っているので、エージング後が勝負だ。


上クロック回りの作業と平行して、OPA627BPを変換基板での安易な実装から開放すべく、出力部のLPFとバッファとを、シングルOPアンプ前提で子基盤にそっくり移し変える作業も開始した。


Fig.10 やりかけ出力基板
比較的頻繁な抜き差しを考慮するならば、丸ピンではなく、こんなソケットの方がいいらしい。
OPアンプ電源のデカップリングは、各石の+と-ごとにBG N 10uF/50Vを入れることにした。4x2で8個。数が足りないので今日、秋葉に買出しに行かねば(クロック電源のレギュレータ前のデカップリング、耐圧不足のOSコン100uFからBG FK 220uFに替えてしまったところだが、音が変わった理由かも知れないので、耐圧の高い100uF以上のOSコンも仕入れて来よう)。
OPアンプのパスコンは、実装可能だったら後で適当に銅スチかマイカを入れるつもり。ジェルマックスのさまいか風サイトの内容を信じれば不要のはず。


Fig.11 裏側
メイン基板との配線は、またもやボード トゥ ボードだ。ソフト屋が電気回路作るとみんなこうなるのかなぁ。モジュール化して、I/Fは分かり易く、と。


Aug.13 2004
chiaki014@mac.com


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